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どうすりゃいいのよ?(1-2)飲食店、インターネットでの立ち振る舞い




こんにちは。先日カフェのスタッフが、「SingTuyo(香取慎吾さんと草なぎ剛さんの新ユニット)」さんのPVにEMPORIOカフェが登場している!とtweetしたら軽くバズって話題になったので嬉しい今日この頃です。ファンの方々の熱意はすごいですね!カフェを撮影にご利用いただく事は多々あるので、可能な限りお伝えして行きたいと思います。


銀座ウエストさんの炎上を【SNS運用の視点】から再び振り返る

さて、先日の続きです。銀座ウエストさんの炎上についてどうすりゃいいのよ(1)アッパー店舗とお子様のご案内】という記事で考えてみました。現場で出来る施策を中心に書いたつもりです。

今回はSNSの運用について考えたいと思います。二つのtweetを再び振り返ってみます。(二つ目のtweetは「誤解を招く」として削除済み)



” 本日、障害をお持ちのお子様とご来店されたお客様より謝罪のメールを頂戴しショックを受けました。親御様の気持ち次第で制御可能なお子様連れの問題と、障害をお持ちの方のケースとは全く次元の違う問題で周りのお客様にもご理解頂けると考えます。今後とも引き続きご利用頂きたくお願い申し上げます。 ”



「上手いな~」「まずったな~」と思ったポイント

特に気になった言い回しが3つあります。まず一つ目。「炎上覚悟で申し上げます」の部分。先にも書いた通り、その後に続くtweetの内容はごく一般的な「保護者の方はお子様が騒がないように注意してね」程度の話です。多くの方にご納得いただきやすい意見にあえて「炎上覚悟」というキーワードを添えることで、あえて「炎上」させたい…とまではいかなくても、耳目を集めたい気持ちがあったのではないか?と感じました。意地悪な見方でしょうか。


正直「上手いな~!」と思いました。意図していたかどうか真意はわかりませんが、結果的にお店の意見に肯定的な人々の熱心な支持を得て、バズらせる事に成功したようにも思えます。現代の情報化社会において、SNSを利用したお店の宣伝や販促は避けて通れない部分です。たった一言「炎上覚悟」という単語の有無で拡散力が段違いというのを感じると、発信する言葉選びの重要性というのも改めて思い知らされます。


逆に「まずったな~…。」と思ったのが残りの二つ。「親御様の気持ち次第で制御可能なお子様」のセンテンス、そして一見して正論も思える「単純に障害を持つ方とそうでない方は同列に考えていない。それは他のお客様にも理解していただける(大意)」という部分です。この時期の銀座ウエストさんへ送られたリプライ群をざっと見渡してみても


  • 制御という言葉の意味を理解して発言しているのか

  • 見えない障害だってある、ひとくくりにして「制御できるだろう」と思われたらたまらない

  • 謝罪メールを送られて何故ショックを受けるの?(ショックを受けたのはメールの送り主ではないのか)

  • 親のしつけ次第でどうにかできるほど子育ては甘くない

などなど…1人の親としてどれも頷けます。個人様のtweetなので引用するのは控えました。こちらも大意としてはこのような感じだったと思います。

障害にも色々あるでしょうし、障害の有無がはっきりしていないような場合もあります。特に小さなお子様の場合、線引きができない場合も多くあります。少し深堀りしてみると、簡単には結論が出せない問題であることがすぐわかるはずです。


また、そもそも【ゆったりとしたご飲食を第一目的としてご来店したお客様】が、騒いでいる子供の属性を瞬時に判断し、場当たり的に理解したり/しなかったりできるものでしょうか?また、医師から診断された病名があるかどうか?と、ご来店したお客様が受容するかどうか?というもまた別問題のように感じます。


「炎上覚悟」 という単語を用いて、銀座の老舗として上品で、一過言あるキャラクターを押し出すことに成功し、改めて(ある属性の)ファンの気持ちを掴んだのに、 「制御」という単語で、それまで(思う事はあっても)ご納得して頂いていたはずの、お子様連れのお客様の心を突き放してしまうという一連の流れ…。


それまでのtweetから真摯なお人柄が伺えるだけに、勿体無いようにも、仕方のない結果のようにも思えます。難しいですね。


SNS、難しいですよね…。

どうすりゃいいのよ?

さて、今回の思考実験は「どうtweetしたら、炎上を回避できたのか?」ということにしましょうか。


(1)掘り下げるのを一旦やめるべきだった


世の中は矛盾だらけです。微妙なバランスの上に成り立っているものばかりです。正論をぶつけ合っても全員が納得できる正解を産み出せない場合も多くあるでしょう。個人のお店、1人でやっている店舗の場合なら好きにすれば良いのですが、企業やお店など社会的集団を代表して発言する場合には、これ以上掘り下げてはいけない”ライン”というのを意識すべきでした。どのような意見にも100%の共感というのは難しいと思いますが、公式として何かしら記事を書いた際、その内容は90%以上の読み手に共感・理解していただける。と思える範囲にとどめておくべきです。個人的にそれでは不満が残るような場合でも、です。


より深堀りして意見が言いたいのであれば公式アカウントを離れて、あくまで一個人の考え、思想として発信すれば良いのです。



(2)語り部は1人でも、「中の人」を複数にしておくべきだった


三人寄れば文殊の知恵とも言いますしね

銀座ウエストさんの公式twitterの「中の人」はおそらく1人で運用されていて、ある程度責任のある方のように感じられます。ミーティングや日々の会話の中でフロアスタッフさんのお話を聞きtweetした、あるいはトラブルになった時点でフロアに赴いてお客様対応をされたご経験があり、その時の印象をもとにtweetされたのではないかなと邪推します。(あくまで予想です)


業務上のお知らせを配信するのが公式アカウントの主な役割ですが、最近は公式アカウントの面白さやユニークさを競うムーブメントもあるようです。「中の人」の人柄を感じさせるような発信が続けば、ユーザーは親しみも感じてくれますが、その分何かとリスクも高くなります。


「公式アカウントでの言葉選びは慎重に」という事に尽きるのですが、読み手は行間からいろいろ感じてしまう事も多々あるでしょうから、十分に配慮した単語、文章を使用したいものです。


それなりの規模のお店や企業が発信する場合には、2~3人のチェック、必要であれば編集を加えた上で公開するのが望ましいと思います。感情に任せて書いた文章を、後から読むと「そんな事が言いたいわけじゃなかった…」と思うこと、誰にでもあるでしょ?例えそれが最終責任者の発言だとしても、加筆修正が入って当然くらいの心構えで、tweet内容を第三者に確認してもらう事をお勧めします。




(3)そもそも「Twitterで」発信するべきでなかった…のでは?


気軽なツールは燃えやすいのかもしれません

身も蓋もない話ですが、インターネットは文字通り全世界に発信してしまうものです。消去することは出来ても、検索結果には残ります。読むのはお客様だけではありませんし、もしこちらに如何ともしがたい理由があったとしても、140文字で全ては理解していただけないかもしれません。前後のtweetを読んでいただけるとも限りません。飲食店がTwitterで発信する話題としては、あまり向いていなかったように思います。もしそれでもお客様にお伝えしたい事であれば、公式HP、プレスリリース、公式ブログなど、もっと言葉を尽くせるフォーマットを選ぶべきでした。


前回の記事【どうすりゃいいのよ(1)アッパー店舗とお子様のご案内】で述べた現場の対応と同様に、オンライン上でも、一方のお客様がもう片方のお客様のご迷惑に見えてしまうような場面を可能な限り作らない方が無難です。

もしそうなってしまった場合、個別に対応していく。状況に応じて対応を変化させて行く。が、お茶を濁すところは濁しておく。不必要にルール化、明文化しない、その方が無難なケースも多々あります。


後日銀座ウエストさんが該当tweetを削除されたのも深く頷けます。メールをお送りいただいた「障害をお持ちのお子様とご来店されたお客様」のエピソードは、「トラブルはその都度、個別対応」の原則から言えばわざわざ公表する必要はなく、直接お客様へお返事するまでに留めておいたほうが良かったという事に気づかれたからなのではないでしょうか。


まとめ

時代が変われば常識も変わります。一生懸命思想を掘り下げて議論して、なんらかの正解に近づいてもすぐに環境が変化し、何の役にも立たなくなってしまうかもしれません。


読んでいただいた皆様はすっきりしない感じかもしれませんが、私の個人的な意見としては「オトナになったほうがお得」ってことですかね。世の中の全てに白黒つけられる訳じゃないですから。

ではー。



 

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