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開業までの道のり(9)店舗内装工事

更新日:2018年8月24日

続きです。前回のエピソード【(8)物件契約と交渉術】はこちらからどうぞ。


飲食店を出店するには、それはもう…お金がかかります。

血のにじむような思いをして貯めた開業資金。ほとんどが内装・厨房工事に消えていきます。一般的な飲食店であれば、工事費と不動産取得費で、出店費用の90%を超えてくるのではないでしょうか?

節約できるポイントはいくつかありますが、材料をケチって節約できる部分は、内装工事の総予算内でいえば2~3割程度にとどまります。工事費を出来る限り安く考えるテクニックもありますが、何事も限度というものが存在します。


<材料のランクを落とす、DIY、設備を我慢する…それって何のための節約?>

それなりの材料や備品を購入して、職人さんを何日も拘束して、自分のお店を作っていただく訳ですから、気軽に考えてはいけません。

もちろん、冷蔵庫を1台減らすとか、食器洗浄機を導入しないとか、夏は暑いものだからエアコンなしで!とか、気力・体力的に問題なければ、さらに費用を削る事は可能ですが、その判断は何に基づいたものでしょうか。ここでは店づくりで何を重視するのか?という視点に立ち返ってみましょう。


安物買いは銭失いかどうか

店舗とは、お客さんに喜んでいただいて自分が思う売上を獲得し、自分が思う経費の中で運営していくために必要な施設です。たしかに、食器洗浄機がなくても頑張ればなんとかなります。冷蔵スペースが少し狭くても、仕込みの回数を2倍にすればなんとかなります。ですが、設備投資というのは単純に「我慢する/しない」の二択ではなく、経費として考えないといけません。自分ががんばるから、とか、アルバイトさんにがんばってもらうから、とか、そういう次元より、もっと大きな視点で物事を見る必要があるって事です。


長期的な視点をもって必要な設備を割り出して行くと…やっぱり結構かかる訳ですな、お金が。もちろん何度も言っている通り、初期費用は安いに越したことはありません。ですが考えないといけないのは、長期的な視点も加味した上での費用対効果であり、その中で最大限無駄のない最安値を狙わないといけないですよ。って事です。


例えば1000万円の使い道一般的な飲食店の場合、工事に1000万円必要になった際、その内の半分(500万円)は、いわゆる設備工事にあたる部分です。細かく言うと、電気・水道・ガス・空調・厨房にもっていかれる部分です。水が必要な所には水は引かなければなりませんし、電気が必要な場所には電気を。それもすべて工事費用がかかります。というように、安くするにも限度がある訳です。もちろん、同じ工事でも高い見積りを出す業者さんもいれば安い見積りを出す業者さんもいます。ここで難しいのは、安ければ良いってものでもない。って所です。


業者Aが1000万円、業者Bが950万円の見積りを同じ図面を元に提出してきたとして、まず、両方とも信頼のおける業者さんなら安い方を選べば良いと思いますが、どちらも知らないとなると、果たして、値段だけで選んで良いものでしょうか?たしかに、50万円の差は大きいでしょう。既製品を買うのであれば間違いなく安い方を選びます。ですが、工事を行い完成させる店舗は既成品ではありません。工事の進行やレベルにも差が出ます。これは何度も取引している業者さんとの信頼関係の問題なので、初めてお店を出す方などは、避けて通れないリスクとなります。



<追加工事も避けては通れない。時には高いものを買う勇気を>

さらに、工事が終わった後にも追加工事が発生します。これは業者さんに問題があるという訳ではありません。慣れていない施主(工事発注者)さんは、図面を見ただけでは全てを把握する事ができないので、工事の進行に応じて、いろいろ新たなご要望が出てくるためで、ほぼ必ずどの工事でも発生するものです。そういった追加工事の扱いを、業者Aさんは見積の中に入れているのに、業者Bさんの場合は割高な別途見積に設定されている場合があったりもします。価格体系の見せ方が違うだけで、最終的に払う額はトントンだった(あるいは損した)、なんて話もよく聞きます。


工事業者さんの選択は出来る限り慎重に行う必要があります。見積りの価格だけではなく、担当者さんの対応や人柄なども含めて、総合的に判断してほしいと思います。上記の例で言うと、業者Aの担当の方に安心感があって、業者Bの担当はとにかく仕事を取りたいだけの感じだったら、業者Aの方にお願いして、業者Bの価格に合わせる、または、近くなるまでがんばってもらう(担当者さんとそこまで襟を開いたコミュニケーションが取れるようになれば、プロジェクトは成功といえるのではないでしょうか)。というのも、ひとつの手段かもしれません。


初めてお店を持たれる方は、どのようなリスクがあるのか?どうすればリスクを軽減できるか?というのを、価格と共に重要事項として考えていただければと思います。



 

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