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【開業・起業読本/6】事業計画は総合的なバランスで考える(2)




必要なのは、売上げと経費のバランスです。

これは、事業計画書を作成する上で必須のことです。そして、前項でもお伝えしましたが、経費のバランス、食材に重きを置くのか?サービスか?立地か?という部分もとても重要なので、再認識しておいてください。ここからはその先の部分を考えて行きます。


まず、他のお店と差別化できる、あなたがお客さんに提供できる他店には負けないメリットをあげてみてください。1つか2つでOKです。

計画段階からの経費の割り振りでも考えたかもしれませんが、もう一度。そしてこれは、経費の側面から見るのではなく「お客様目線で」考えてください。


「あなたがお客さん(来客予定、来客可能、見込み顧客など)だったとして、どのようなメリットがあるお店に魅力を感じるのか?」という観点です。

カフェに対するお客さんのニーズも様々です。

  • 美味しいコーヒー/お酒/お食事を楽しみたい

  • 仕事の打ち合わせ・友人と談笑したい

  • (歩くのが疲れた/約束の時間まで)ちょっと時間を潰したい

  • 読書/仕事がしたい

  • インスタ映えする写真が撮りたい

  • カフェスタッフとお近づきになりたい  などなど・・・


ニーズは様々だが、最終的には満足感



もちろん、一人の人がタイミングによって違うニーズを持っていたり、複数のニーズを持っていたりする場合もあります。それらのニーズに応えるため、


どのようなお店(ハード面)をどのような立地(ハード面)に

どのようなサービス(ソフト面)と商品(ハード&ソフト)にするのか

どのようにしてそれらのニーズを満たして満足して帰ってもらうのか?


以前も書きましたが、どのようなニーズも、それを突き詰めて行けばかならず「感情」に到達します。あらゆるビジネスは「お金」を外して考える事はできないですが、最終的に得ようとしているのは、お客さんとお店側双方の「満足感」です。


立地・内装・商品・サービス・価格設定…そのすべてがお客さんとお店の双方の満足のために存在すべきであり、その最終的な目標に至る過程のひとつとして事業計画書の作成も存在している。とご理解ください。


すべてのニーズを満たす事は不可能



話は戻りますが、カフェに対する様々なニーズ(時と場合によって変化することも多々ある)に対し、その全てをバランスよく満たす事は不可能です。なぜなら、相反するニーズも多数存在するからです。

例えば、「カフェでゆっくり読書したい」というお客さんのニーズと、「座席数を多くして売上げをUPしたい」というお店のニーズは相反する部分があります。「窮屈でも良いから200円で座ってコーヒーを飲みたい」というニーズもあれば、「すぐ近くに知らない人がいるのはイヤなので、500円で広いスペースを確保したい。」というニーズもあり、それがターゲットが違うという分けではなく同一人物である場合もあり得ます。(仕事の合間か休日か?とか)


事業計画を考えて行く上で必要な事は、下記のあたりです。

  • 確実に存在するであろうニーズを見つける

  • そのニーズが来店可能な範囲に一定数以上存在しているかどうか?

  • あなたのお店が、そのニーズを満たせる事を伝える手段

  • それが、他のお店よりも「満足度」が高くなる「理由」=「差別化」 まず、ここらを明確にして資源を投下しつつ必要であればスキルをUPさせ、その事実をお客さん(潜在顧客)に伝えるための方法考えましょう。

当店を例にあげて考えて見ます


ではひとつ例をあげて、弊社のカフェEMPORIOの場合を見てみましょう。

学芸大学駅からEMPORIOカフェに来るまでには、

  • ドトール

  • スターバックス

  • その他、喫茶店や飲食店

など、多数の競合が存在しています。開業当初ももちろん存在していました。

駅に近ければそれだけ潜在顧客数も多いですが、家賃も同じように高くなって行きます。いわゆる、必要な時に近くにあって使いやすく、コスパも良い(かどうかはわかりませんが)立地では、資本もノウハウもバイイングパワー(大量に食材を購入するので仕入れコストが安い)もあるチェーン店さんが存在しています。


仮に、私が夢のような事業計画をもって大量の資金調達に成功し、初期費用が4000万円とか5000万円とか必要な物件にてカフェを開業したとしても、ブランド力、知名度、ノウハウ、バイイングパワーのどれをとってもチェーン店さんに勝てる要素はないのは自明で、かつ、高額な家賃を支払い続ける必要性から座席数を増やして居心地を低減させてでも売上げを追求しないと営業を続けられない可能性も高いです。結局、チェーン店さんと同じ土俵で同じニーズに対して訴求していく事になるでしょう。


そこで、EMPORIOカフェを開業する当初より、 チェーン店さんが座席数を増やして回転率を追求する経営をしているのであれば、我々は逆に、駅からは少し離れるけどその分家賃が安い物件にして、座席同士の間隔を広くし、なおかつソファー席にしてゆったりとした時間が流れるお店として、15分20分の空き時間にお茶したいと思った時には見向きもされないが、休日の午後のひとときにカフェで読書したい。とか、久しぶりに会う友人と、ランチもしつつその後お茶も飲みながら、ゆったり静かな空間でたくさんおしゃべりしたい。というようなニーズがある時に、一番に思い出してもらえるようなお店。というのを目指しました。


いわゆるそれが、EMPORIOカフェという事業体のコンセプトの中核です。

重要なのは、そういうニーズがある。とお客さんが認識した時点で記憶の中でそれに適したお店探しが始まる訳ですが、その際に1番になれるようなお店として存在する。という部分です。2番ではダメです。なぜなら、休日の午後、カフェでまったりとしたひと時を過ごしたらそのニーズは満たされる訳ですから、2番目に思い出したお店は「また、次回」となるかもしれませんし、次に同じニーズが出てきた際も2番になって、結局来店してもらえないかもしれないからです。


つまりは、 お客さんのニーズを明確にし、それを明確に満足させる差別化された強みを中心にし、そこに経営資源を集中しつつ、他の潜在的なニーズに対して不満を与えたり、お客さんの側に高いコストを要求しないようバランスの取れた事業計画を考える必要がある。という事です。


バランスなのか?特化して差別化しろなのか?どっちやねん!という声も聞こえて来そうですが、順番としてはまず強みを生かす「差別化」を考えて、その強みを生かしたお店を経営していけるよう「バランス」を考える。という順です。


経営資源の分配を考える

ここからが今回お伝えしたい事の重要点なのですが、例えば経営資源を配分するとして、

  • 差別化された部分  50万円

  • その他、バランスを保つ部分 50万円

とする場合、売上げが100万円あれば良いですが、80万円しかない場合に、

  • 差別化された部分  50万円

  • その他、バランスを保つ部分 30万円

とするのか、

  • 差別化された部分  40万円

  • その他、バランスを保つ部分 40万円

とするのか?はたまた、なんとかアイデアをひねり出して、80万円しか行かないであろう売上げを100万円にするのか?

このあたりを考えるのが、経営者の主な仕事と言っても過言ではないでしょう。


事業計画は絵に描いた餅



そもそも、事業計画の段階で想定している売上げなど、前途の回転数同様「絵に描いた餅」でしかないのですから、正直、そんなに深く考える必要もこだわる必要もないのです。なんとなーくイメージして事業計画書を作成している際に、100万円くらい行ける感じがするのであればOKですし、80万円くらいかなぁ、と思うのであれば不足分を補うアイデアを検討すれば良いですし、50万円も行かない気がするのであれば、そもそもの事業計画(ビジネスプラン)から見直した方が良いと思います。


事業計画書は、「仮に」「例えば」の積み重ねです。

「仮に、700人くらいの潜在顧客が居て」 「仮に、1週間に1回来店してくれるなら」=100人/日(来店) 「例えば、こんな感じのメニュー構成と単価にすれば¥1,000/客」 日商10万円行くなー。という場合。

この物件(不動産情報を見て)は、30坪 60万円/月の家賃 だったら、50席は確保できるなー。 (これは、仮にの話しですが物理的に可能な具体的な仮) この物件の周りは、オフィスが多いからこういうニーズがあるなー。 この物件の周りは、幼稚園が多いからママさんニーズが・・・ とか、

とてつもなく美味しいコーヒーを淹れられるから、普通は5分以内のカフェしか行かない人でも10分歩くだろう。とか、店長イケメンだから、30分電車乗っても雑談しに着てくれるだろう。とか。 はたまた、インスタ映えするこのビジュアルのメニューを求めて、世界中からお客さんくるだろう。から、もっと駅から離れて同じ家賃でも広い物件にした方が売上げあがるだろう。 けど、そうすると最初に考えた700人の潜在顧客が→500人くらいまで減りそうな感じがするけど、とか・・・。


そんな感じで、強み、商品、物件(立地)、マーケティング、ターゲットニーズ、資本(お金)、などなどを行ったり来たりしながらバランス取りつつ、強みを活かし、弱みを見せない(知らせない、悟らせない)ためには、何ができるか?どこに出店すべきか?どういう商品をどういう価格設定にすべきか?見栄えは?材料の仕入れは?と、さらに行ったり来たりを繰り返しつつ、数字の折り合いをなんとなーくつけて行くのが、事業計画書の作成方法です。

強引にまとめます。 事業計画で最も重要なのは「売上げ」です。事業計画というより「事業そのもの」において最も重要な部分です。まずは売上げが上がらないとそもそもビジネスですらないですし、売上げというのは顧客がもたらしてくれるもので、こちらが意思決定する類のものではありません。


つまり、一番不透明な「売上げ」が一番「重要」って事なので、そもそも事業計画の段階で一番見えにくい「売上げ」に関して細かく考えても時間の無駄だよ。って事です。

考えないのではなく、細かく論理的に考えても仕方ない。って事です。


もちろん、しっかり考えましょう。でもそれは、回転数とか適当な数字を持って来て、さも論理的に考えている「ふり」をするのではなく、自分が創ろうと思っているお店、ビジネスに対して、自分や自分のまわりの人、その立地近辺の方々になったつもりで想像し、どれくらいの人数がどれくらいの頻度で利用してくれるかなー?というイマジネーションをしっかり働かせ、そういう作業の中で見えてきた「新しいニーズ」「潜在的なニーズ」「問題点」などを洗い出し、さらなる具体的なイメージへと進化させるために考える。イメージ(想像)する。って事です。そのイメージは、決してファンタジーではなく、あなたの経験に基づいたリアリティのあるイメージであるべきなのは当然です。


人間のイメージの力(ファンタジーではなく、リアリティ)はとてつもなくすごいのです。スーパーコンピューターをもってしても数時間もかかる計算を、なんとなーくさらっと近い答えを出せてしまうくらいですから。


あなたは自分のビジネスをするのは初めてかもしれません。お店を開業してお客さんから売上げを貰う事も初めてかもしれません。ですが、お客としてたくさんのお店を「経験」した事実はあると思います。その経験からリアリティのあるイメージを湧かせて、強みに特化しつつ、不満を与えないバランスのとれた事業計画を、さまざまな部分にスポットを当てて行ったり来たりしながら、なんとなーく数字に置き換えて考えてみてください。その数字を眺めていると、また、なんとなーく違うアイデアが浮かんでくるかもしれませんから。


思う事、伝えたい事をツラツラ書いているだけですが、無料とは言え読者の皆様の貴重な時間を頂戴しているので、ご興味持っていただける間に、出来る限り書き進めて行きたいと思っています。




 

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