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不確実性への対処


不確実で不安定なものの上に、なんとか乗っかっている。

世の中も経済も、結構テキトーに回ってる。と、感じるようになったのは大人になってからかもしれません。景気ひとつとっても、「景」というくらいですから、結構気持ちの問題だったりします。バブルに象徴されるように、多くの人が土地の値段が上がると思えば、実際に上がって行く訳ですから。そして、実際あの頃は景気が良かったらしい。


私自身、残念ながら直接バブルは経験していません。

要するに、他の人(多数の個人)がどのような選択をするか?また、どのように先を見据えているか?というのがビジネスをしていく上で、とても重要なのですが、確実に分かる術などある訳ない!って事です。だって、一番良くしっている”自分”の考えや選択、また、将来に対するビジョンですら、完全に理解できている訳ではないのですから。


簡単に言うと、先の事などわからない。のです。 お店をオープンさせるにしても、絶対に成功する!という意気込みは大切ですが、不確定なもの(この場合はお店に来てくれるであろう顧客)を相手に、絶対はない。という視点も必要です。


人は完全に合理的でもありませんし、結構、その時々の”感覚”やそれまでの”慣習”によって選択している場合が多い。つまり、本人ですらその選択の理由をしっかりと理解している訳ではないのに、確実に選ばれるようにお店を作るなんていうのは、土台無理な話なのです。




が、しかし、その”感覚”や”なんとなく”に、ある程度傾向があるとすればどうでしょう?

もちろん、100%でもありませんし、人はそれぞれですから、100人いたら100人とも同じ選択をする訳ではないのですが、そこに予想できる”偏り(バイアス)”がある。というのが、最近の研究により、いろいろと明らかになって来ています。

そういうのを研究しているのが、「行動経済学」といわれる分野で、とても勉強になるので、いろいろと本を読ませてもらっています。皆さまも、興味があればぜひ。




ただ”わからない”では商売にならない

さて、冒頭では「先の事など分からない」と書いてはいますが、ただ”わからない”では商売にならない訳です。わからないながらも、そこに一定の傾向があるのであれば、成功する可能性が高そうとか、儲かりそう。という判断もできますよね?としたら、どれくらいの確率で成功するかどうか?成功した場合にどれくらいの報酬が得られて、それにかかるコストはどれくらいか?というのを洗い出すのが、「事業計画」の中身だと思います。

もちろん、初期コストをかければ確率をUPさせたり、報酬をUPさせたりできる場合もあるでしょう。しかし、多ければ多いほど良いという訳でもありませんし、集められる資本にも、通常限界があります。





初期コストひとつ取っても、集められる額が多くなれば多くなるほど、集められる可能性は下がって行きますので、そこも”バランス”。そして、どれくらいの初期コストの投入がどれくらいのリスクとリターンをもたらすのか?というの、これまたバランス。確実な答えがある訳ではないですし、自身が想定している”可能性=確率”というのも、限られた情報に基づいた不確定な値です。


って事は、ようするに、不確定な訳です。

だったら、計算する意味あるのか?って話になりますが、もちろんあります。厳密に言うと、計算というよりはイメージです。不確定なものに対応していくには、イメージと数字の計算の両方が不可欠であり、それを支える「情報・知識・経験・想像力」がとても重要になります。




たとえば、キャッチボールをする場合

ボールの行く先を物理の公式を使って計算する人がいるでしょうか?いても良いですが、多分、受ける側は待ってられませんよね。通常、そんな事をしなくても、野球を経験した事がある人なら、20~30m先の相手めがけて、ある程度正確にボールを投げる事が可能ですし、受ける側も、ボールが手から離れた瞬間のスピードや回転、風、その他の数値情報などまったくなくとも、ちょっと見ただけで、ほぼ、どの地点にボールが来るのかを予測して、受ける事ができます。


しかし、ボールの運動を物理の計算式に当てはめて数値化しようとすると、それはもう複雑で、難解で、時間のかかる作業になり、それでいて100%正確とはいかないのが現実です。




計算などしなくても、イメージするだけでほぼ正確にボールの到達地点を予測できる。というのは、ひとえに、経験や知識があるからこそ、ですよね。計算していたら日が暮れるくらいの物理運動の結果をある程度正確に予測できるという事こそ、イメージのチカラです。そのイメージの土台となる経験や知識は、試行回数の多さによって裏付けされている訳です。なので、まったく経験のない人は、上手くキャッチボールできませんよね?それくらい、正確な情報や過去の経験に基づいて、一瞬で下されるイメージというのは凄い訳です。



キャッチボールもビジネスも、完全なる情報がない中で、先を予測するのは同じで、違いは、過去の経験の差であったり、集められる情報の差であったりしますが、重要な違いは、そこに、人の選択が入るかどうか?という部分です。



ボールの起動は物理の計算で、かなり良い線まで割り出せる。なぜなら、そこに選択がないからです。ビジネスの場合は、通常、選択が深く関与しているため、ボールに比べてさらに不確定な要素が多いと言えますね。


そこで、不確実性の中でも代表的な”個人の選択”というやっかいなモノに対して、どのように向き合って行くか?というのが、ビジネスの本質だと思っています。

という事で、もちろん、経験や勘なども重要なのですが、個人の選択にも合理的な面と不合理な面とがあり、そこにもある程度の傾向があるのであれば、そこを意識して店づくりやメニュー開発、接客、価格設定を行えば、意識しなかった時より少しでもプラスになるのではないか?というふうに考えています。


テクノロジーの進歩により、情報の流れがどんどん高速になっている時代。だれもが自分の思う事などを気軽に発信できる時代。選択肢がたくさんあり、いろいろと選べる時代。そんな時代に、お客様から選ばれるお店になるために、今日、何ができますか?

常に、社会や人の選択への理解度を向上させていくのは、価値があると思います。



 

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