経営は、経費の比率を考えつつ、損益分岐点の計算もしないといけません。
損益分岐点(売上)というのは、その売上げを下回ると赤字という状態になる売上げの金額の事です。経費には大きく分けて二通りあり、
売上げに関わらず必要となる経費…家賃や給与
固定費売上げに連動して増えていく経費(主に材料費)…変動費
です。売上げから変動費を引いた残りで、固定費を賄えないと「赤字」という事になりますので、どのようなバランスで経費を割り振っていたとしても、赤字であれば必ずどこかにしわ寄せが来ます。
赤字のしわ寄せはどこに?
どこかにと言っても、
材料費を払わないと食材を卸してもらえませんし
家賃を滞納すれば(すぐではないにしても)追い出されて営業できなくなりますし、
実質的にはオーナーの給与を減らす以外に道はない ので、
この損益分岐点というのは非常に重要であり、これを出来るだけ低く設定できるような事業計画が求められます。
損益分岐点の計算方法やグラフについては、このブログにたどり着ける方々なら検索ですぐに見つかるでしょうし、ここでは割愛させていただきます。
カフェの基本的な数字の管理
カフェの基本的な数字の管理については、大きく分けて二つあります。
損益分岐点を越える売上げ
経費の配分(原価、人件費、家賃、その他諸経費)
この2点が、カフェを経営していくうえで、また、事業計画を立案する上で基本および最重要事項となります。というのも、 その経費の配分(食材に振るのか?立地に振るのか?)、バランスによっておおよそのスタイルは計画の段階ですでに出来ているからです。 飲食店というビジネスは、上手く行っている場合でも、売上げに対しての利益率は10%~20%程度です。30%を越えるようなお店は、ほんのわずかしかないでしょう。
その理由は前回書いたとおり、材料費と人件費とその他諸経費が結構な割合で掛かってくるからです。もちろん、原価率(原材料費率)が20%以下でもお客さんの満足度の高いお店はあります。(コーヒーをそれなりの単価で販売している)などは、原価率が10%程度に抑えられている場合もあるでしょう。例えば
コーヒー20円+ カップと蓋20円=合計40円
このような原材料費の商品を400円(税別)で販売できれば、原価率は10%という事になります。
だったらもっと利益残せる(営業利益率が50%を越える)んじゃないの?という考え方もできますが、コーヒーだけをガンガン売っていけるような立地の場合、お店の家賃というのがかなり重くのしかかってきます。
ひとつ例をあげてみましょう。(人気のSバックスを推測する)
弊社カフェ「EMPORIO」は、東急東横線の学芸大学という駅から5分ほど歩いたところにあり、駅からEMPORIOカフェに到着するまでにはいくつかのカフェチェーンを横目に通り過ぎる必要があります。
ちょうど真ん中あたりに、世界的なコーヒーチェーン店があります。そこの月の売上げや経費を推測してみます。
売上…1000万円(35万円/日)←結構売れている方
原材料費…100万円(10%)←変動費
人件費…300万円(30%)←変動費(一部固定)
家賃…250万円(25%)←固定費
その他諸経費…50万円(5%)←電気代とかもろもろ
このように計算(あくまで推測ですよ)すると、利益は、300万円(30%)ですが、 ここからチェーン店の場合は、本社経費が必要になってきますし、FC店の場合には、3~5%程度のロイヤルティを本部に支払う必要があります。それでもこれだけ売れて、これだけ儲かればウハウハですね! が、しかし、売上げがこの半分しか行かない場合はどうでしょう?(標準的なお店はそんなもんです。)
売上げ…500万円 (17万円/日)←標準的なチェーン店
原材料費…50万円(10%)←変動費
人件費…150万円(30%)←変動費(一部固定)
家賃…250万円(50%)←固定費
その他諸経費…25万円(5%)←電気代とかもろもろ
で計算すると、利益は、25万円(5%)になってしまい、本社経費とかロイヤルティを支払ってしまうとほぼ利益がない状態になります。この場合の利益が出ていない主な原因は、
家賃が重い
売上げ不足
の2つであるのは明らかですが、同じ売上げ500万円を家賃100万円くらいの立地で達成できるのであれば、とても優秀な繁盛店と言えるでしょう。
仮に、家賃が100万円の立地で売上げ500万円だったとしたら、営業利益は175万円です。売上げ1000万円の時の300万円の利益に比べれば半分くらいしかありませんが、それでも毎月175万円残るのであれば、とても成績の良いお店である事に変わりありません。
このように、売上げと経費はどちらか一方が重要という分けではなく、商品や業態、立地や店舗の広さ、内装、サービスなど様々なバランスの上において成り立っています。
それを念頭に置いて、事業計画の作成に進んで行きたいと思います。
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